何の因果か三連発。旅日記も中盤だ。今回は、標津町を経ってからを書いてみよう。
再会した彼に別れを告げ、翌朝私はバイクを走らせた。今日の目的地は、釧路湿原を見た後に、富良野へ向かうことに。ラベンダーが見たくなったという、何ともいい加減な思い付きなのだが、一人旅の醍醐味は、こういういい加減さも通ってしまうというところにあるだろう。
釧路湿原には、そう労せずして到着した。道も良く、迷うことも無く辿り着けたので、少し拍子抜けしたほどだった。本州にいた時は、次の目的地まで300kmと聞くと、一気にガックリきてしまうものだが、北海道だと300kmはおろか、400kmの距離であろうと、何となく行けそうな気がしてくるし、実際に行けてしまう。信号の類が少ないのもあるし、大きな声では言い辛いが、皆の平均速度も割と速いのだ。
辿り着いた釧路湿原は、流石に日本最大の湿原というだけのことはあり、どちらを向いても湿原が広がっていた。訪れていた他の人から聞くに、約3000年前にこの形が出来上がり、そしてそれが現在に至るまでそのまま残っているということに、非常に驚いた。今私が立っているこの場所からの景色を、遥か昔の人達も眺めやったのかと思うと、不思議な気分になった。
その後、少し遊歩道を散策し、今で言うマイナスイオンをたらふく浴びた後、私は釧路の街並みを抜け、一路富良野へとバイクを走らせた。
「北の国から」で一躍有名になった富良野の景色は、確かに画面で見たそれと同じだった。ただ、やはり自分の目で見る方が何倍も綺麗に映る。私が北海道に行ったのは9月だったので、丘一面のラベンダーを見ることは出来なかったが、それでも何とか丘にはラベンダーが咲いており、やはり富良野と言えばラベンダーの紫が良く似合う・・・と、バイクを走らせながら思ったものだ。また、ラベンダー以外の花も多く咲いており、それらが勢いの落ちたラベンダーに代わり、丘をカラフルに染め上げていた。
ファーム富田という、富良野に行く観光客がほとんど立寄る農園に立ち寄り、ラベンダーのソフトクリームを頂いた。ほんのりと鼻をくすぐるラベンダーの香りとスッキリとした甘みが、長距離走行の疲れを癒してくれた。流石に、昨日・一昨日と星空を屋根代わりの野宿だったので、身体の疲労はそれなりに溜まっていたようだ。通りかかった際に見つけた「メロンの宿」というライダーハウスに宿を取り、近所にある銭湯の場所を聞き、先に着いていたライダーさん達と共に、旅の汗を流した。同じ目的を持って旅をしている者同士、打ち解けるのに時間は全く必要としなかった。北海道を走るライダー達には、上手く言葉には出来ないが、そういう連帯感が生まれてくるものなのだろう。初対面、名前も知らず、素性も知らない。けれど不思議と話せてしまう、分かってしまう・・・そういう何か通じるものが、お互いにあるのだ。
「メロンの宿」は、メロン農家の方が経営されていることもあり、宿を取ったその日の晩に、思わぬ嬉しいことがあった。何と、メロン食べ放題だったのだ。宿泊代が一泊500円で、メロンが食べ放題な宿など、この富良野のライダーハウスを除いて他にはなかなか無いだろう。メロンを水っ腹になるまで堪能するという、当時の自分的には至高の贅沢を文字通り「味わった」一晩だった。
もはや北海道の夜恒例となりつつある、焚火を囲んでのライダー達の談笑に混じり、様々な事を話し合った。どの人達も、様々な目的を持って北海道に来ており、自分が投げかけた疑問にも様々な回答が返ってくるのが非常に面白かったと覚えている。
さて、今回は少々短くはなったが、次回は旭川~札幌ルートを書いてみようと思っている。今でも当時を思い出す度に思うのが、北海道はやはり広いということだ。土地の広さは言うに及ばず、それ以外にも、何か広いと感じさせるものがあったことは、今でも覚えている。
運輸課
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