私の叔母の家には、メスのシーズー犬が一匹いる。
たまに遊びに行くと、ドアを開ける前から走り回っている音が聞こえてくる。
ドアを開けた瞬間、廊下やリビングを走り回る。
猛スピードで、曲がり角も上手に曲がる。
そして、私が座るソファに先回りして、暴れまわって疲れ果てた結果、
おとなしく座り込む。・・・何事もなかったかのように。
ここまでの様子だと、歓迎されているように思えるのだが・・・、
実はそうでもない。彼女の喜びぶりは、この瞬間だけなのだ。
私が食事をしていると、遠くから潤んだ瞳でみつめてくる。
アレルギーだらけの虚弱体質なので、どんなに見つめられても、
私は決して食べ物を与える事はない。
叔母がきちんと管理しているので、うっかりエサを与えると私が怒られるのだ。
でも、とりあえず彼女はみつめてくる。
私も自分の身が大事なので、視線を感じつつも、気付かない振りをする。
エサをくれないと分かると、彼女は徹底して知らんぷり。
そして、私と彼女の関係が微妙な理由がもうひとつ。
彼女が悪い事をして叱る時、決まって叔母は名前を間違えるのだ。
しかも、私の名前と間違えるのだ。なんて失礼な、ありえない話だ。
怒る時だけ間違える。普段は絶対に間違えないのに・・・。
そんな感じで、微妙な空気がふたりの間には漂っている。
そして帰る時、とりあえず彼女は玄関までトコトコ歩いてやってくる。
最初のテンションはまるでナシ。
『あ~、帰るの?』といった感じで見送ってくれる。
それでもまた、叔母の家に行くと恐ろしく高いテンションで迎え入れてくれるのだ。
運輸課 ハポネス
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